2004年2月10〜21日 シリア・オマーン公演  6.オマーン・マスカット
◆常夏オマーン

 ダマスカスからUAEの首都アブダビを経由し、オマーンの首都マスカットへ到着。
 あらかじめ得ていた情報から暖かい土地ということは判っていたけれど、実際に来てみるとそれ以上の南国ムードです。
 雪のシリアから来たもんだから余計ですが、ただ暑い国というだけでなく、温暖な気候を売りにした立派な観光地なのです。行ったことはないけど、たぶんハワイのような感じ。



 マスカットへは夜到着し、この時の気温が25度。こりゃ暑い。
 シリアではコートとマフラー装着という重装備でしたが、これらが一気に荷物へと変わった瞬間でした。
 人々の暮らしも全然違い、あまりのギャップに一同唖然。走ってる車は新しいものばかり。そして街がとても綺麗なのです。うーん、こんな豊かな国だとは思わなかったなぁ。
 オマーン編だけはその観光地ぶりをよりお伝えするため、大きな写真でお届けします。
◆マトラ・スーク

 各都市にはスーク(市場)があり、マスカットはマトラ地区という所に大きなスークがあります。ここは観光客相手の店と、地元の人々が買いに来る生活用品店が共存しており、実に多彩な商店が並んでいます。
 我々一行も観光客モードでここへ遊びにやってきました。
 と言っても私はこういう雑多なところは苦手なので、一通り道を抜けた後は集合場所でマッタリしてました。



 スーク入り口が集合場所で、90分ほど自由買い物時間。がんばって30分は見て回りましたが、ほどなくギブアップ。まだ1時間あったけど、そそくさと集合場所へ。
 これが日本だったら退屈するところですが、ここではただそこに居るだけでもかなり面白いということが判明。
 この国の人々は昼間の暑さが激しいため、一番暑い時間は仕事も遊びも休み、夕方涼しくなってからワサワサと動き始めるのです。そして夜中遅くまで遊ぶという夜行性民族。
 このときも夕方でしたが、次第に人々がたむろし始め、人数が増えていきました。しかも集まって何をする訳でもなく、ただそこでアンニュイに過ごすのが彼らの日課のようです。
 アジア人がひとり(私)そこに居ても誰も話しかけてこないし、見るには見るけど特に気にしてない様子。
 皆に習って海辺に腰掛けてボーっとしていると、なんかいい。大変マッタリ。
 ふと気づくと集合時間が間近。
 あれ? じゃあずいぶん長い時間ここで呆けてたのか。気持ちよすぎて時間の流れを忘れてしまったようです。


◆モスク

 マスカットには中東一巨大なモスク(イスラムの寺院)があります。
 本来モスクにはイスラム教徒以外入れませんが、ここだけは観光客にも開放しています。非常に巨大で、そして大変美しいモスク。敷地内の床はすべて大理石でできており、建物や人の姿がそのまま床に映るほど。



 日本の寺院関係は建物内撮影禁止ですが、ここは普通にOKとのことでびっくり。
 中に入ってみると、まー天井が高いこと。そして巨大なシャンデリアがぶら下がってて、実に見事です。
 床にはペルシャ絨毯が敷き詰められてますが、観光客は踏めません。専用に敷かれている青いビニールシートの上のみ歩行可能になってます。もちろんイスラム教徒はどこを歩いてもOK。



 写真からもわかりますよね。人の大きさに対してこの天井の高さ。とにかく大きい。
 不思議だったのは、日本の大きな寺院の本堂にいるような、なんだか落ち着く雰囲気が漂っていたこと。やっぱり厳かな場所というのは共通するものがあるんですかね。
 このモスクは主に国の行事や大きな宗教イベントの時に使われるそうで、壁際にはコーランがびっしりと並んでいます。
◆マスカットフェスティバル

 オマーンでの公演地はマスカットフェスティバル会場。
 世界中の国々が自国の文化を披露し合うという世界博です。日本もブースを持っており、和風素材をいろいろ展示。そのひとつとして我々の演芸もあるのです。
 野外ステージでの公演は風が問題。とくにここは風が頻繁に吹く場所なので、穏やかであることを祈るのみでした。
 二日間の公演のうち初日は風が強く、かなりやりにくかったんですが、二日目はほぼ無風で助かりました。

 

 実はメイン会場は別の場所にあり、ここは第二会場なのです。しかも第二会場の中のメインステージではなく、子供向けショーをやる「キッズステージ」なのでした。
 だから観客は半分がお子様。
 もう半分は親御さん達なのでまだいいんですが、やっぱり子供の騒ぎ方というのは万国共通なんですな・・・。それでも比較的見てくれたほうかなぁ。
 ここの公演は内容そのものよりも、楽屋がてんやわんやだったので、そっちに気を取られっぱなしでした。地元の中学生たちが劇をやるとかで楽屋に押し寄せて大騒ぎ。
 まるで台風(笑



 さて、日本ブースでは茶の湯の実演もされました。なぜか我々もデモンストレーションに加わってお茶会スタート。イスラムの女性が混じってるのが絵的に笑えますね。かなり正座がつらそうでした。
 というかですね、そもそも日本ですら茶の湯やらないのに、遥かオマーンの地でやるとは思いませんでしたねぇ。因果なもんですが、やっぱりお茶は日本の心です。
 ちょうど和の味が恋しくなってた頃なので、お抹茶の美味しいこと(笑) 良い体験でした。


 全員で記念撮影。真ん中の方が主催者です。みんなで銀の香炉を頂きました。

◆温泉

 オマーンにも温泉があります。
 マスカットからずいぶん離れたところですが、湯が湧き出てる山があり、ここの小川は天然スパリゾートとなっているようです。

 子供達も溜まりでゆっくり温泉につかってますね。ぬるめのお湯ですが確かに気持ちがいい。





 河原で足湯に浸かってると、上流から山羊が歩いてきてびっくり。山羊飼いです。
 特に観光用のデモンストレーションというわけではなく、本物の土地の人です。ここを降りてどこまで行くんだろう。
 最終日の骨休めでした。



 中東は悪いニュースばかりが話題の中心になってますが、今回行ったシリアとオマーンは実にいいところです。アラブの自然な営みとはこういうものなんだなと感じさせられました。
 あとはイラク問題が落ち着き、アラビア半島全域に平和が訪れることを祈ります。いい旅でした。
 現地でお世話になったスタッフの方々、そして同行のT氏に感謝いたします。
◆おまけ その1

 オマーンに居るまさにその時、日本vsオマーンのW杯予選が行われました。
 日本での試合でしたが、敵地オマーンにいると肩身が狭いというか何というか。
 そしていざ試合が始まると街角に集まって激しくオマーンを応援する人々! が全然いません・・・ あら? そんなに熱狂的ではないのね。あまり関心がないのかなぁ。
 地元のテレビでは中継をしてましたが、泊まってたホテルではやってないし。
 でも翌日の新聞には一面トップで載ってました。
 オマーンチームが頑張る姿とともに日本人選手が抱き合って喜ぶ写真もちゃんと載ってます。
 これが逆の立場の時日本の新聞だったらどうなのかな。同じ大きさで相手チームの勝利姿を載せたりするかな。
 こうやって称えてくれるのは気持ちいいですよね。新聞の構成にも国民性が現れてると思った次第であります。



◆おまけ その2

 帰りの飛行機はアラブ首長国連邦(UAE)のフラッグシップで、世界一ハイレベルなサービスで有名なエミレーツ航空でした。
 機内設備や食事が群を抜いて素晴らしいとの前評判にワクワクしながら搭乗。
 我々はビジネスクラスですが、この飛行機にはさらにその上のファーストクラスも設定されており、これがもうとにかくすごい。
 飛行機なのに個室なんですよ。一見マンガ喫茶かと思うような仕切りがあり、中にはテレビと豪華なソファが用意されています。
 しかし、連れが居る場合はちょっと使えませんね。実際にいましたよ、ドア開けて通路越しに話してるカップルが。



 で、噂のハイレベルなサービスはというと、ぜんぜん駄目でした。
 電動リクライニングの座席がうまく作動しなかったり、飛行機そのもののコンピューターが故障して出発が2時間遅れたり。しかも配備されてからまだ一週間目という新品飛行機なのが余計情けない。
 機内サービスと言っても、明け方の出発便だから、ほとんど寝っぱなしでよくわからなかったし、挙句の果てには荷物が飛行機に積まれてなかった(いわゆるロストバゲッジ)というオチまでついて、踏んだり蹴ったり。
 まぁ何というか、とにかくイマイチすぎでしたよ、エミレーツ。
 あ、パンはうまかった。



 1.出発
 2.オーストリア・ウィーンの夜
 3.シリア・ダマスカス
 4.シリア・パルミラ遺跡
 5.シリア・アレッポ
 6.オマーン・マスカット


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